Java Silver への道 配列の作成と使用編
配列
配列とは複数の値の集合をまとめて扱うための「インスタンス」である。
配列を使用するときはnewキーワードを使って配列のインスタンスを生成しなければいけない。またこのときは整数値(小数点は不可)で要素数を指定する必要があり、要素名は変えることができない。
~配列インスタンスの生成~
new int[3];
配列は変数に格納した参照を用いて扱う
~配列型変数の宣言~
int[] array;
配列型変数には配列インスタンスへの参照(リンク先)を代入する。
変数内に要素が直接入るわけではない。
また配列型変数には参照を入れるだけであるため、要素数を指定することはできない。
int array[];
配列を表す大かっこ「[]」は変数名の後ろに記述することもできる
~サンプルコード~
public static void main(String[] args) { // 要素数3の配列インスタンスを生成し、整数のint型の配列型変数arrayにインスタンスの居場所を参照 int[] array = new int[3]; // 配列インスタンスの0番目の箱に1を代入 array[0] = 1; // 要素数3の配列インスタンスを生成し、オブジェクト型の配列型変数scoresに参照 Object[] scores = new Object[3]; // 変数arrayの参照先インスタンスにはStringクラスがないため、ObjectクラスのtoStringメソッドが呼び出されて、ハッシュコードが出る System.out.println(array); // 要素の値を出したいときは参照先の要素数まで指定 System.out.println(array[0]); // 整数型のデフォルト値は0 System.out.println(array[1]); // オブジェクト型のデフォルト値はnull System.out.println(scores[0]); } }
結果
[I@15db9742
1
0
null
初期演算子
配列インスタンスの生成と同時に要素の値を入れたい場合に用いる
int[] array = {10,20,30};
int[] array = new int[]{10,20,30};
どちらも同じ意味を持つが、後者の場合要素数を指定するとコンパイルエラーが起きる。
なぜなら初期演算子は自動的に要素数を計算してくれるからだ。
多次元配列
配列の特徴には以下の2点が挙げられる
- 配列は参照を通して扱う
- 複数の参照をひとまとめに扱うことができる
このことから、参照先の配列がさらに複数の参照を持っていることを「多次元配列」という。
~2次元配列~
int[][] array = new int[2][3];
このとき、変数とインスタンスの間で次元数を一致させる必要がある
~nullが含まれている多次元配列~
要素の値にnullが入ると何も参照しないという意味になる。
またnullにはlengthは存在しない。
サンプルコード(nullがない場合)
public class Main { public static void main(String[] args) { String[][] array = { { "A", "B" }, { "C", "D", "E" } }; int total = 0; for (String[] tmp : array) { total += tmp.length; } System.out.println(total); } }
結果
5
String[][] array = { { "A", "B" }, { "C", "D", "E" } };
arrayの1つ目の要素には"A"“B"の参照、2つ目の要素には"C”“D”“E"の参照が代入されている
for (String[] tmp : array) {
arrayの要素を1つずつtmpに代入、要素数は2なので2回ループ。
このときtmpはString型なので参照先の"A"“B"は一つずつtmpの要素に入る
total += tmp.length;
1回目はtmpに"A"“B"2つの要素数が入るのでlengthは2:total = 0 + 2
2回目は"C”“D”“E"3つが入るのでlengthは3:total = 2 + 3
サンプルコード(nullがある場合)
public class Main { public static void main(String[] args) { String[][] array = { { "A", "B" }, null,{ "C", "D", "E" } }; int total = 0; for (String[] tmp : array) { total += tmp.length; } System.out.println(total); } }
String[][] array = { { "A", "B" }, null,{ "C", "D", "E" } };
2つ目の要素にnullが入る、nullが入った要素は何も参照しない
for (String[] tmp : array) {
total += tmp.length;
}
処理を実行中、nullにはlengthがないため、ここでNullPointerExceptionが発生する
配列と継承関係
クラスが継承関係にあるとき、スーパークラス型の配列変数で、サブクラスのインスタンスの集合を扱える
Object[] obj = {"A","B","C"};
Object型しか扱わない配列型変数objとString型しか扱わない配列インスタンスは、扱う型が異なるが、StringクラスはObjectクラスを継承しているためコンパイル・実行ができる。
つまり全ての配列型変数は、Object型に暗黙的に型変換できるということだ。
~サンプルコード~
public interface A {} public abstract class B implements A {} public class C extends B {} public class D extends C {}
このコードは以下のような仕組みを表している
public class Main { public static void main(String[] args) { A[] arrray = {new C(),null,new D()}; Object[] objArray = array; } }
CクラスとDクラスはAインターフェースを実装しているBクラスを継承している。そのため変数型配列AはC型とD型の配列インスタンスを扱える。
また全ての配列型変数はObject型を継承しているため、型を暗黙的に変換してくれる。
ここで、nullが入っているarrayやobjarrayを使う処理があれば、NullpointerExpectionが生じる。
配列のコピー
~cloneメソッド~
cloneメソッドを使うと、同じ値を持った配列インスタンスが複製される。
public static void main(String[] args) { int[] arrayA = { 1, 2, 3, 4 }; //arrayAと同じ値を持った配列インスタンスを作成 int[] arrayB = arrayA.clone(); //値は複製だがインスタンスは異なるため結果はfalseに System.out.println(arrayA == arrayB); //arrayAの値がコピーされているので出力される for (int i : arrayB) { System.out.println(i); } } }
結果
false
1
2
3
4
~arraycopyメソッド~
Systemクラスのarraycopyメソッドは、配列の一部をコピーしたいときに使用する
引数 | 説明 |
---|---|
第1引数 | コピー元となる配列 |
第2引数 | コピー元のどの位置からコピーを開始するか(0始まり) |
第3引数 | コピー先の配列 |
第4引数 | コピー先のどの位置からコピーを開始するか(0始まり) |
第5引数 | 第2引数を含んでいくつの要素をコピーするか |
サンプルコード
System.out.println(ArrayA,1,arrayB,0,4);
「arrayAの1番目から合計4つの要素をarrayBの0番目にコピーする」という意味である